「なぜ今、ビジネススクールで『哲学』なのか?
➖我々はどこから来て、今どこにいるのか。
我々はどこへ進むことができるのか?」
講師: 竹田 青嗣(大学院大学至善館 教授)
これまで経済発展を謳歌してきたG7諸国のGDP成長率は、近年低下の一途を辿っています。VUCAの時代と言われる昨今、資本主義・民主主義に依拠した成長神話は終わりを告げているのかもしれません。
至善館は、世界に先駆けて、哲学(そしてリベラルアーツ)をカリキュラムの軸としています。それは、現在の高度化した経済・社会システムの仕組みと本質を捉える上で、そして「世界」の「今」と「未来」について明確な展望をつかむ上で、「哲学」の視座が必須であると考えているからです。
ヨーロッパでは、社会的リーダーの立場にある人々は、暗黙のうちに哲学的素養を身につけています。しかし、日本では哲学的な教養は大きく欠落しています。そしてその差は、われわれが考えているよりはるかに大きなものです。
なぜ哲学的な素養が重要なのでしょうか? 歴史上、哲学が果たした決定的な役割は2つあります。 第一に、哲学は、科学(自然科学と人文科学)の起源となりました。 第二に、近代社会の登場は人類史上一つの画期をなす出来事でしたが、この近代社会の「設計図」を描き上げたのが、当時の哲学者たちでした。(特にこの点が重要です)
近代以降、私たちはいわゆる資本主義・民主主義の社会に生きています。
つまり、現代を生きる私たちが営む社会の最初の設計図を描いたのが、近代哲学者たちだったのです。
しかし、私たちはこの社会の根本の設計図を、誰がどのような思想で描いたのかについては、ほとんど知りません。
現代社会の混迷を読み解くには、哲学の視座をもって、社会の成り立ちに立ち戻り、その本質的な意味、その困難と可能性について、正しく理解することが必要になります。
そして、近代哲学者たちが示した、社会の設計図を把握しておくことは、分野を問わず、未来の優れたビジネスリーダーになるためには、必須の資格といえます。
哲学の基礎教養を身につけることで、現代社会がいまどこに存在し、またどこへ進み出るかについての大きなビジョンを与えるものとなるのです。 |
19:00 – 19:10 至善館の学校紹介、講師紹介
19:10 – 20:00 竹田 青嗣 教授 「なぜ今、ビジネススクールで『哲学』なのか?」 講義
20:00 – 20:30 Q&A
20:30 – 21:00 学校説明会(希望者のみ)
竹田 青嗣(大学院大学至善館 教授)
早稲田大学政治経済学部卒業後、在日作家論を出発点にしながら、文芸評論、思想評論とともに、実存論的な人間論を中心として哲学活動を続ける。現象学、プラトン、ニーチェをベースに、哲学原理論としての欲望論哲学を展開。『欲望論』第一巻・第二巻を完成(講談社)。明治学院大学教授を経て、早稲田大学国際教養学部教授をへて現在大学院大学至善館教授。在日韓国人二世。