【開催レポート】第2回 Medical Impact Night:地域医療の現場から問う「住民参加」と「人生会議(ACP)」のリアル

大学院大学至善館では、医療・介護・ヘルスケア領域の課題解決とリーダーシップを探求するイベント「Medical Impact Night」を開催しています。

第2回となる今回は、沖縄県立中部病院・感染症内科の髙山義浩先生をゲストにお迎えしました。コロナパンデミックの最前線で指揮を執った経験や、地域医療の現場での実践を通じ、医療の専門家だけでは解決できない課題にどう向き合うか、「住民参加」をキーワードに熱い議論が交わされました。

モデレーターは、至善館の修了生(2025年卒)であり、株式会社Carus Holdingsの創業者兼代表医師でもある今野健一郎さんが務めました。

登壇者プロフィール

髙山 義浩 氏
沖縄県立中部病院 感染症内科・地域ケア科 副部長
佐久総合病院、厚生労働省等での勤務を経て、地域医療と感染症対策の最前線で活躍。コロナ禍では沖縄県の政策参与として知事の決断を支えた。Yahoo!ニュース公式オーサーとしても情報を発信している。

パンデミックが突きつけた「医療の限界」と「生活の視点」

冒頭、髙山先生はコロナ禍の振り返りから講演をスタートしました。
当時、感染拡大防止のために社会活動が制限されましたが、その一方で、糖尿病やアルコール依存症などの慢性疾患が掘り起こされるケースや、高齢者の認知機能・ADL(日常生活動作)の低下が著しく進むという「副作用」が現場では起きていました。

「医療需要を抑制するためには、基礎疾患を放置させない予防医学が重要です。しかし、コロナ禍では感染対策が最優先され、人々の生活や繋がりが分断されてしまった。その結果、失われたものも大きかったのではないか」と髙山先生は問いかけました。

「施設療養」という沖縄モデルの決断

オミクロン株流行時、沖縄県では爆発的な感染拡大により医療機関がひっ迫しました。そこで髙山先生たちが主導したのは、高齢者施設での感染者について、安易に入院させず、施設内で療養を行う「クリニカルパス(診療計画)」の策定でした。

これは「医療の放棄」ではなく、「高齢者にとっての最善」を追求した結果でした。
データによると、入院した場合と施設療養した場合で死亡率に大きな差はなく、むしろ入院による環境変化や身体拘束が認知症の悪化やADL低下を招くリスクが高いことが明らかになりました。

「入院すれば安心、ではない。住み慣れた場所で、馴染みのスタッフに囲まれて過ごすことの方が、予後が良い場合がある」。この経験は、地域医療における「生活の場」の重要性を再認識させるものでした。

誰でもできる「お節介」が地域を救う

最後に紹介されたのは、独居の高齢女性を地域住民が支えた事例です。
認知症でセルフネグレクトに近い状態だった女性に対し、近所の住民が「お節介」を焼き、訪問看護師が介入するきっかけを作りました。さらに、入院中のペット(ヤギや犬)の世話を近隣の高校生や住民が引き受けるなど、制度外の助け合いが自然発生的に生まれたのです。

「専門職だけでは地域医療は回りません。隣の家の雨戸が開いていないな、と気にかけるような、住民による『お節介』こそが最強のセーフティネットになります」と髙山先生は語り、専門職と住民がフラットに手を取り合う社会の必要性を訴えました。

講義の合間には、会場にて軽食を交えたネットワーキングが行われ、登壇者と参加者が熱心に意見を交換する姿が見られました。

次回のご案内

第3回 Medical Impact Night

  • 日時: 2026年3月6日(金)19:00〜
  • ゲスト: 本田徹 氏(国際協力NGO SHARE理事)

 

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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