【開催レポート】第3回 Medical Impact Night ~「誰も取り残さない」医療の原点と実践~

2026年3月6日、大学院大学至善館にて第3回目となる「Medical Impact Night」が開催されました。本イベントは、医療・介護の現場や経営に携わる方々が集い、次世代の医療のあり方について語り合う場として、至善館アルムナイの今野さん(Class of 2025)を中心に開催されています。

今回は、NPO法人シェア=国際保健協力市民の会(SHARE)理事であり、現在は福島県飯舘村の「いいたてクリニック」で所長を務める医師の本田徹先生をお招きしました。当日は、本田先生の半世紀にわたる臨床経験と、その根底にある「プライマリ・ヘルス・ケア(PHC)」の理念についてご講演いただきました。

■ 医療の原点:幼少期の原体験
本田先生の医療への道のりは、5歳の時に1つ下の弟を麻疹(はしか)の合併症である肺炎で亡くしたという痛ましい原体験から始まります。当時は国民皆保険制度もなく、医療へのアクセスが限られていた時代。「適切な医療さえ受けられれば防げたかもしれない」という思いが、後に「誰一人取り残さない」医療を目指す強い原動力となりました。

■ プライマリ・ヘルス・ケア(PHC)と国際保健への目覚め
医学生時代から社会課題に関心を持っていた本田先生は、青年海外協力隊としてチュニジアに派遣され、現地の小児科病棟で過酷な現実を目の当たりにします。そこで実感したのは、病院で患者を待つだけではなく、地域社会に入り込み、予防や衛生教育を行うことの重要性でした。その後、1978年の「アルマ・アタ宣言」で提唱されたプライマリ・ヘルス・ケア(PHC)の概念に強く共鳴し、日本の農村医学の先駆者である若月俊一さん(長野県・佐久総合病院)の下で地域医療の研鑽を積まれました。

■ 山谷から世界へ:医療からこぼれ落ちる人々を支える
1980年代からは、東京・山谷地域で日雇い労働者やホームレスの方々への無料巡回診療を開始。さらに、パレスチナ、カンボジア、東ティモールなど、紛争や貧困に苦しむ途上国での医療支援にも長年尽力されてきました。本田先生は、難民や無保険者など、既存の医療制度からこぼれ落ちてしまう人々に対し、いかに医療を届けるかという「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の課題に最前線で挑み続けています。

■ 福島・飯舘村での新たな挑戦
東日本大震災後は、福島県南相馬市での支援を経て、現在は帰還困難区域が一部解除された飯舘村の診療所で村の医療を支えています。「目の前で困っている人を見捨てない」。その信念は、78歳となられた今も全く揺らぐことはありません。

講演の後半やその後の懇親会では、参加者から数多くの質問が寄せられ、本田先生の熱い想いに触発された活発な意見交換が行われました。至善館では、今後も「Medical Impact Night」を通じて、次世代の医療・介護のリーダーたちとともに社会課題に向き合う場を提供してまいります。

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