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「グローバルな社会課題に挑み続ける原動力は、国内のボランティア活動」
2026年3月10日(火)至善館のMBAプログラムの一環である「リーダーシップ・ナイト*」を開催しました。本セッションは、変革を牽引するリーダーをゲストに迎え、その人生の旅路やリーダーシップの真髄に迫る対話型講義です。
今回のゲストリーダーには、ゲイツ財団 日本常駐代表として活躍する柏倉 美保子氏をお迎えしました。パトリック・ニューエル至善館教授によるモデレーションのもと、後半には学生代表も登壇し、リーダーシップの本質に迫る濃密な対話が繰り広げられました。
柏倉氏のリーダーシップの原点は、6歳の時にメキシコで目撃した同年代の少女の姿にありました。ストリートで物乞いをする少女の姿に衝撃を受け、「世界から貧困をなくしたい」という強い使命感が芽生えたと言います。帰国後、言葉や文化の壁による葛藤を経験しながらも、その想いは揺らぐことはありませんでした。
しかし、その旅は単なる情熱だけでは進みませんでした。「社会課題を根本から解決するには、資本主義や金融の仕組みを理解する必要がある」と考え、シティバンクでのキャリアをスタートさせます。MBA取得やESG投資の評価機関を経て、一つの重要な哲学に行き着きます。それは「ただ『良いことをする』だけでは世界は変わらない。限られたリソースで最大のリターン(社会的インパクト)を生み出すためには、データと戦略に基づくアプローチが必要である」ということです。
その後、世界経済フォーラム(ダボス会議)へと舞台を移した柏倉氏は、大きな試練に直面します。それは、各国の政治家やグローバル企業のトップといった、時に強大なエゴを持つリーダーたちをまとめ上げるという難題でした。
このタフな環境下で学んだのは、異なるセクターを繋ぎ合わせる「共通のビジョン」の力でした。政府、企業、NGOなど、どれほど立場や利害が対立していても、「世界をより良くしたい」という根本的なビジョンを提示し、そこで合意形成を図ることができれば、不可能を可能にする大きな原動力が生まれる、と語りました。
グローバルな舞台でマクロな社会課題に挑み続ける柏倉氏ですが、その活力を根底で支えているのは、週末に自身で行っている地域での活動(チョイふるやかんしょくプロジェクト)だと言います。
「地球規模の課題であれ、国内で困難を抱える一人であれ、向き合う相手は同じ「人間」です。困難の質や規模は異なっても、人として寄り添うべき存在であることに変わりはありません。人々と向き合う時間、そして寄り添った相手の状態が少しでも良くなる瞬間に立ち会うこと――現場で生まれるその小さな幸せの積み重ねこそが、私が挑戦し続ける原動力です。そして何よりも欠かせないのが、自分自身を整え、ケアし続けること」という力強い言葉は、リーダーに求められる「セルフリーダーシップ」の核心を突くものでした。
イベント後に開催された懇親会では、キャリアにおける困難の乗り越え方などについて参加者と活発な対話が交わされ、会場は大きな熱気と共感に包まれました。素晴らしい時間を提供してくださった柏倉さん、そしてモデレーターを務めたAyaさん、Suhaasさんに心より感謝申し上げます。


*「リーダーシップ・ナイト」とは
至善館の正式科目「リーダーシップの旅を展望する」の一環として、毎月1回、日本語セッションと英語セッションを一部外部にも開放して実施しています。各界の第一線で活躍するリーダーをゲストに招き、その方々のリーダーシップ・ジャーニーを伺うことで、参加者が自身の未来を展望し、自らのリーダーシップの旅を見つめ直す機会としています。至善館の学生にとっては、潜在的なロールモデルやサポーターとなりうる実践者(挑戦者)との出会いの場にもなっています。
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