IESE-Shizenkan 資本主義の未来センター

資本主義の進化に向けて、企業とリーダーの役割と責任をめぐるグローバルな対話の場を構築する

ビジネススクールは、資本主義の士官学校と呼ばれます。資本主義という経済システムの主要な構成要素である企業システムと資本市場システムに、多くの人材、リーダー人材を供給してきたからです。

その資本主義が、持続可能性への懸念の高まりや格差の拡大で、曲がり角にたっていることは世界の識者が指摘するところです。とりわけ、過去50年間に世界を席巻した新自由主義に基づく市場重視の経済理論、企業の存在意義を株主利益の最大化とする株主至上主義、経営者を株主の代理人とするエージェンシー理論など、ビジネススクールでも教えられてきたフレームワークが、効率性やイノベーションを促進すると同時に、経済と社会のバランス、プラネットとの共生を阻害してきた一因ともなっています。

2018年、アメリカの経済団体であるアメリカンビジネスラウンドテーブルは、株主至上主義からステークホルダー主義への回帰を発表し、2020年のダボス会議でも「ステークホルダー経済」の重要性が議論されました。しかし、アメリカを中心とするESG投資への逆風や「Woke」や「Wash」への反動もあり、今後の道筋は必ずしも明らかではありません。

より公正で、より持続可能で、より包摂的な未来を人類は手にいれることが可能なのでしょうか。資本主義を担う企業や資本市場は、より良い未来の実現にむけてどんな役割と責任を担えるのでしょうか。そもそも、企業とは何で、誰のために何のために存在するのでしょうか。起業家や経営者は、何者で誰に対してどんな責任を果たすべきなのでしょうか。資本市場におけるアセットマネジャーやアセットオーナーはどうでしょうか。資本主義の士官学校であるビジネススクールは、その教育のあり方をどう進化させるべきでしょうか。

資本主義の未来センターは、こうした問題意識を共有する至善館とスペインIESEビジネススクールが協働し設立された研究センターです。

Future of Capitalism プロジェクト

センターの中核活動は、Future of Capitalism (FoC) プロジェクトの推進です。プロジェクトは、より公正、包摂的で、持続可能な未来の実現に向けた、企業とリーダーの役割と責任についてのグローバルな対話のプラットフォームを構築することで、同時に、ビジネススクール教育のこれからを展望する実験でもあります。

プロジェクトは、2021年に、至善館の野田智義学長とIESEのフランツ・ホイカンプ学長が共同発起人となり、インドSchool of Inspired Leadership (インド)のアニル・サチデブCEOとFundação Getulio Vargas (ブラジル)のエジソン・コンドーFGVブラジリア校学長の協力を得てスタートしました。元ユニリーバCEOのポール・ポールマン氏、B Corp認証運動を進めるアメリカBラボの共同創業者であるジェイ・コーエン・ギルバート氏、トリプルボトムラインを提唱し、サスティナビリティのゴッドファーザーと呼ばれるジョン・エルキントン氏、ステークホルダー戦略理論の先駆者であるアメリカ・バージニア大学教授のエドワード・フリーマン氏、パーパス経営の世界的権威の英国オックスフォード大学のコリン・メイヤー教授など、趣旨に賛同する世界各地のトップリーダーが協力・支援をしています。

今日、このプロジェクトは、世界五大陸の20校以上のビジネススクールが参加するネットワークに発展しており、IESE−至善館資本主義の未来センターが、運営主体を担っています。

Future of Capitalism プログラム

FoCプロジェクトでは、毎年1月から4月において、Future of Capitalism Program:  Exploring Roles and Responsibilities of Business Enterprises and Leadersと題するグローバルMBAコースをすべてオンラインで運営しています。コースは、至善館とIESEにおけるMBA選択科目として運営されていますが、南アフリカのPretria大学、ナイジェリアのLagos Business School、バングラデシュのDhaka大学、シンガポールのシンガポール国立大学ビジネススクール、韓国のソウル国立大学ビジネススクール、インドのIIM Bangalore校、メキシコのEGADEビジネススクール、カナダのRoyal Roads大学ビジネススクール、フランスのEcole de Pontビジネススクール、ベルギーのVlerickビジネススクールなど、世界五大陸から数百名のビジネススクールの学生が参加しています。

プログラムには、資本主義、資本市場、企業、ビジネスの未来について発言する世界の有識者が講師やスピーカーとして参加しています。過去の登壇者には、プラネタリー・バウンダリの提唱者であるヨハン・ロックストローム博士、資本主義の再構築の著書で知られるハーバードビジネススクールのレベッカ・ヘンダーソン教授、コンシャス・キャピタリズムの共同提唱者であるラジ・シソーディア教授、ドーナッツ経済の提唱者であるオックスフォードの環境経済学者のケート・ラワース博士、脱成長論を提唱する気鋭のマルクス哲学者・斎藤幸平博士(東京大学准教授)、マイクロファイナンス運動が評価されノーべル平和賞を受賞したムハンマド・ユヌス博士、人を中心におく経営を提唱する元ベスト・バイCEOのユベール・ジョリー氏、バチカン教皇庁社会研究所所長のステファノ・ザマーニ博士、企業の外部性に早くから注目し新たな経営像を提案してきたパヴァン・スクデフ氏、企業の価値創造とインパクトの測定評価を進める先進企業アライアンスを主宰するクリスチャン・ヘラー氏、これからの世代への責任と長期的思考の重要性を提唱するオックスフォード大学の哲学者ローマン・クルツナリック博士など、世界を代表する識者が含まれています。

現在では、FoCプログラムは一般に開放されており、毎期50名程度の特別聴講生(参加費無料)をグローバル公募しています。世界のビジネススクールの在籍者、あるいはビジネススクールに関心をもち、自らがリーダーとして未来を開かんとする気概と情熱を持つ方は、プロジェクトの参加校以外からでも、プログラムに出願することができます。関心がある方は、こちらから詳細を確認ください。(Future of Capitalismのwebsiteへ)

コースの内容 (2026 ver.)

1. Future of MBA Education: What Are the Roles and Responsibilities of Business Schools?

2. Where Are We Going? What Are the Challenges Facing Business Enterprises and Leaders at This Critical Time of Change in Capitalism?

3. Where Are the Capital Markets Heading (Including ESG and Impact Investment)? How Can We Tame the Capital Markets?

4. Exploring Purpose-Driven Management

5. What Is a Company, and What Is a Manager? Revisiting and Going Beyond Agency Theory

6. Examining the Relationship Between Companies and Society. Human Rights Issues

7. What Are Employees for a Corporation? Considering the Relationship with Employees

8. Reflecting on the Relationship Between Companies and the Planet

9. Circular Economy and Business Models: From Vision to Implementation

10. Redefining and Measuring Corporate Value Creation

11. The Roles and Responsibilities of Business Leaders – Can We Become Good Ancestors?

運営体制

Profile-picture_Junichi-Kagaya_page-0001-e1601621264750-200x200

加賀谷順一
センター長
IESEビジネススクール  マネジング・ディレクター エグゼクティブ教育部門アジア統括、大学院大学至善館 理事

Demos

Color Skin

Header Style

Layout

Wide
Boxed