ピーター D. ピーダーセン教授による体験授業「ソーシャル・イントラプレナーのすすめ」が開催されました
2024年01月22日
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1月15日(月)オンラインにて、ピーターD.ピーダーセン教授による体験授業「ソーシャル・イントラプレナーのすすめ」が開催されました。当日は、「あなたは今、ジョブ・クラフティングできていますか?」という問いから始まりました。ジョブ・クラフティング(Job Crafting)とは、大量生産型の作業としての仕事とは違い、働き手が自分のテイストを加えながらやりがいを生み出していくという新しい働き方の概念で、イントラプレナーシップは、ジョブ・クラフティングの一つのアプローチとして位置付けられます。

 

 

今や事務用品として欠かせないポストイットは、くっ付くけれど簡単に剥がれてしまう失敗作の接着剤を、「糊の付いたしおり」として商品化したことで生まれました。ポストイットの誕生秘話は、社員がイニシアチブをとり、企業にいながらにして新たな価値を創出した、イントラプレナーシップの代表的な事例として知られています。一方で、ピーダーセン教授は、「既存組織内の起業家的活動はとても難しい。」と言います。なぜなら、「組織には前例主義や反対主義など変化を好まない官僚的な役職者が少なくなく、システム全体や硬直化したマインドセットの変化を必要とするから」です。また、社員の方も、「縦割り・垣根を越えて協働する」「自ら『ビジョン』の『ストーリー』を語り、多様なステークホルダーと共有できるバリューを説得材料にする」などに努めないといけません。体験授業では、Zoom投票の実施など参加者とのインタラクションもありました。「イントラプレナーに必要な資質は何だと思うか?」という質問には、「夢、想像力、巻き込み力」といったキーワードがあり、参加者自身が今後自分に必要な資質を考えるきっかけとなりました。

 

 

終盤の質疑応答では、参加者から「イントラプレナーによるアイデアを採用した後、組織はそれをどの程度管理すべきか」「日本でイントラプレナーが生まれにくい背景とは」などの質問が寄せられました。質問への回答の中で、ピーダーセン教授からは、日本のハイコンテクストで、全体を乱すような発言や逸脱が認められない社会と、阿吽の呼吸がない、Day1から価値を提供することが前提となっている欧米型の社会との対比が紹介されました。また、「必ずしも組織の壁を超える必要がないという状況でも、社員が背水の陣を敷いて「解放」を勝ち取るという気概やモチベーションを持てるかが重要だ」といった日本の企業で働く社員への指摘がありました。

その後、2023年6月に至善館を卒業した細川瑛代さんが登壇し、ピーダーセン教授の授業の感想や至善館での学びを共有しました。至善館で得た学びについて問われると、「膨大なインプットとアウトプットの繰り返しによって、「物事をなんとかしていく力」が身についたと思う。」と答えました。また、至善館での2年間を振り返り、「忖度なしに、至善館に行かなければ良かった、と言う人は聞いたことがない。常にデッドラインに追われる生活、わからないなりに走らなければいけないという生活は苦しかったが、クラスメイトと一緒だから乗り越えられた。」と語りました。

 

 

大学院大学至善館の授業では、イントラプレナーが組織の中で直面する課題や、苦難を乗り越える方法についても、経験者・実践者の体験談を交えて学習します。社会課題を解決に導く社内起業家としての哲学や実践スキルの習得に関心がある方は、ぜひ至善館の門戸を叩いてみてください。

次回以降の開催イベント情報はこちら

 

 

 

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