【開催レポート】リーダーシップ・ナイト:山田メユミ氏(株式会社アイスタイル 取締役、一般社団法人バンクフォースマイルズ 代表理事)
2025年12月01日
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「誰かがやらなければならない。リスクを計算するよりも、『今、自分がやらなければ』という使命感が勝っていました。」

 

2025年11月26日(水)、至善館のMBAプログラムの一環である「Leadership Night*」を開催しました。本セッションは、変革を牽引するリーダーをゲストに迎え、その人生の旅路やリーダーシップの真髄に迫る対話型講義です。

 

今回は、日本最大のコスメ・美容の総合サイト「@cosme(アットコスメ)」を運営する株式会社アイスタイルの共同創業者であり、現在は同社取締役および複数の企業で社外取締役を務める山田メユミ氏をお迎えしました。

 

当日は、至善館の学生(犬尾さん、清水さん)がモデレーターを務め、山田氏のこれまでの歩み、起業の経緯、そしてリーダーとしての葛藤と信念について、会場の学生たちを巻き込みながら深掘りしました。

 

 

 

多様性を受け入れる原点となった「長万部」での生活

セッションの冒頭、話題は山田氏のルーツへと遡りました。幼少期から自然科学やモノづくりが好きだったという山田氏。東京理科大学基礎工学部生物工学科へ進学し、1年次に北海道・長万部キャンパスでの寮生活を経験します。


「当時の自分にとってはカルチャーショックの連続でしたが、あの1年間がその後の価値観形成に大きく影響しました」と山田氏は語ります。


多様なバックグラウンドを持つ仲間や地元の方々との交流を通じ、「多様性をリスペクトする」という感覚が自然と養われたといいます。この経験が、後の「生活者の多様な声」を大切にするビジネス姿勢へと繋がっていきます。

 

「@cosme」誕生の裏側にあった“違和感”と行動原理

大学卒業後、化粧品原料メーカー等を経て起業へと至った経緯について、山田氏は当時の化粧品業界に対する「違和感」を挙げました。


「作り手(メーカー)の論理が優先され、使い手(生活者)の声が届いていないのではないか」


インターネット黎明期であった当時、山田氏は「生活者のデータベースを作りたい」という純粋な想いから、個人のメールマガジン配信をスタートさせます。それが現在の@cosmeの原型となりました。

 

学生からの「リスクをどう捉えていたか?」という質問に対し、山田氏は「リスクよりも『今やらなければ』という使命感や、純粋な好奇心が勝っていた」と回答。「好き」という気持ちと直感に従い行動する、その“行動原理”が多くの共感を呼び、創業メンバーやユーザーを巻き込んでいく原動力となったことが語られました。

 

リーダーシップの葛藤と「コスメバンク」への挑戦

共同創業者との方向性の違いや、資金調達時の苦労(エンジェル投資家への10時間に及ぶプレゼンなど)といった、華やかな成功の裏にある葛藤についても率直に語られました。「辞めた瞬間に失敗になる。続けていれば失敗ではない」という言葉には、数々の困難を乗り越えてきた経営者としての強さが滲み出ていました。

 

そして現在、山田氏が情熱を注いでいるのが「コスメバンクプロジェクト」です。


化粧品業界の廃棄問題と、経済的困難を抱える女性たちの貧困問題。この2つの社会課題を繋ぎ合わせ、企業から提供された化粧品を必要とする人々に届ける活動です。
自身もシングルマザーとして子育てをしてきた経験を持つ山田氏は、「経済的な理由で化粧品を諦めざるを得ない人々に、彩りや自信を届けたい」と語ります。ビジネスで培った資産を社会還元し、笑顔の総量を増やそうとするその姿勢に、会場からは深い共感の頷きが広がりました。

 

学生へのメッセージ

最後に山田氏は、「笑顔が多い環境こそが幸福度を高める」という研究に触れ、「自分がリスペクトできる人たちと共に、笑顔でいられる環境を作っていってほしい」と学生たちにエールを送りました。

 

一方的に教えるのではなく、学生との対話を通じてリーダーシップの本質を紐解いた今回のLeadership Night。山田氏の飾らない言葉と、「生活者視点」を貫く揺るぎない信念は、これから自身のリーダーシップ・ジャーニーを歩む学生たちにとって、大きな指針となる一夜となりました。

 

 

 

「リーダーシップ・ナイト」とは

至善館の正式科目「リーダーシップの旅を展望する」の一環として、毎月1回、日本語セッションと英語セッションを一部外部にも開放して実施しています。

各界の第一線で活躍するリーダーをゲストに招き、その方々のリーダーシップ・ジャーニーを伺うことで、参加者が自身の未来を展望し、自らのリーダーシップの旅を見つめ直す機会としています。

至善館の学生にとっては、潜在的なロールモデルやサポーターとなりうる実践者(挑戦者)との出会いの場にもなっています。

 

 

 

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