【社会イノベーション創出奨学金 第1号奨学生インタビュー】 第7期生 御手洗 薫さん「社会を変えるのは自分自身、至善館で芽生えた新たな使命」
2024年10月09日
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社会イノベーション創出奨学金は、NPOや公益法人などで社会課題解決に取り組み、社会イノベーションを生み出そうとする実践者の方を対象とする奨学金として、昨年新設されました。今年8月に入学をした、奨学生第1号の御手洗 薫さんにお話しを伺いました。

 

– まずは、自己紹介をお願いします。

御手洗です。現在は、フリーのファンドレイザーとして、NPOや一般社団法人など非営利の組織が資金を集める上でのアドバイスをするファンドレイズのコンサルタントとして活動しています。

 

– これまでは、どんなキャリアを歩んで来られたのですか?

ビジネスセクターとソーシャルセクターでキャリアを積んできました。中学生の頃から、数学の教師になりたかったのですが、社会人経験のある教師の方が、社会に求められているだろうと思い就職活動をしました。当時は就職氷河期でしたが、大学は数学科だったので、数学が活かせそうなIT会社を選び、外資IT会社に就職しました。ITインフラエンジニア、マーケター、セールスと、社内公募制度を活用して、自発的にキャリアを形成しながら15年勤めました。

元々、ロジックを組んで理解するのが得意だったのと、それを誰かに伝えて、相手が理解してくれることに喜びを感じる性格だったので、クライアントと一緒にITインフラを構築したりするエンジニアとしての仕事は非常に楽しかったです。

 

転機は、結婚と出産の時でした。それまで、男性社員と競うようにバリバリ働いていたのですが、子どもが生まれて産休・育休を取り、子育てをしながらの職場復帰をしました。しかし、当時はまだ在宅勤務は一般的でなく、子育て女性への理解も会社にあまり浸透していなかったので、子育てと仕事がなかなか両立できず、仕事のパフォーマンスが著しく落ちてしまいました。

特に、残業が当たり前の時代、バリバリ働くことが会社の文化でもあったので、そんな同僚たちに負けないくらいパフォーマンスを出すためにどのような工夫をしたらいいかと、上司に相談しても、「子どもを産んだあなたの自己責任。」という冷めた反応が返ってきて、驚愕したのをいまだに覚えています。

 

– コロナの前はそのような認識が強い傾向はありましたね。それを聞いて、どう思いましたか?

最初、このような認識は、所属していた会社の問題かと思っていたのですが、同じような状況に苦しんでいる知人の女性たちと相談し合ううちに、徐々に、これは社会全体の問題なのではないか、と考えるようになりました。

私は、もともと、正義感が強く、社会の不条理に対して、違和感や怒りを感じやすいタイプでした。また、周囲の人が抱える問題に対する共感力が高く、自分ごとのように感じてしまう性格でしたので、このような社会問題を知ってしまうと、いてもたってもいられなくなっていました。

 

そこで、病児保育のパイオニアであり、「政策提言」も積極的に行っている認定NPO法人フローレンスのことを思い出し、私もフローレンスの一員となり社会問題を解決したいと、毎日求人情報をチェックする日々を過ごしました。ある日、「法人営業・遺贈寄付担当」という見慣れない求人を見つけ、私にとっては専門外の求人でしたが、迷わず応募し、運良く採用していただきました。そこで、私は、ビジネスの世界から、ソーシャルの世界にキャリアチェンジしました。

採用していただいたものの、私自身はファンドレイザーとしての経験がなかったので、ゼロから資金調達について勉強し、試行錯誤を重ね、法人寄付の立て直しや遺贈寄付の立ち上げをしました。また、ファンドレイザーとしての資格である「認定ファンドレイザー」を取得するなどして、徐々にファンドレイジングの仕事の深さに魅入られていきました。フローレンスで5年ほど働いてから、ファンドレイザーとして独立して今に至ります。

 

​​​​− なぜ至善館に出願しようと思ったのですか?

NPOや一般社団法人向けに資金調達のアドバイスをしていく中で、経営やオペレーションといった組織全体の課題にぶつかることが多くなりました。しかし、自分が経営については初心者なために、クライアントの課題を満足のいくかたちで支援できなくて、悔しい思いをしたことがありました。経営について体系的に学ぶ必要性をずっと感じていました。

 

至善館は、ソーシャルセクターの中では知名度が高く、アルムナイや現役学生の方が多いので、これまで、折に触れて至善館の話を聞く機会があり、おもしろそうだなとは思っていました。

今年に入り、知人から声をかけてもらい、至善館について詳しく教えていただく機会をいただきました。そして、至善館が掲げる教育哲学や理念、カリキュラムの内容などについて初めて深く知り、同時に、非常に興味を持ちました。

 

至善館が最も魅力的だったのは、ビジネスとソーシャルの間に垣根をつくらず、どちらも学ぶ機会を多くつくっていることでした。私は、ビジネスセクターからソーシャルセクターに転職した際に、まだまだ日本には、セクター間に溝というか認識のズレがある、ということを課題に思っていたので、至善館でビジネスセクターのクラスメイトとビジネス・ソーシャルどちらの議論もできることは、とてもおもしろいだろうし、まさにその行為がビジネスとソーシャルの間の垣根を取っ払うきっかけになるのではと期待し、出願しました。

 

​​​​− 至善館に出願するに際して、一番課題だったことは何ですか?

私の子どもが受験生で日々の出費が高くなる時期でしたので、至善館の授業料を払えるかが1番のネックでした。ただ、至善館は奨学金の制度が充実しているので、出願と合わせて奨学金に申請しました。

 

​​​​− 社会イノベーション創出奨学金に申請しましたね。選ばれたと聞いた時はどう思いましたか?

「私なんかが、社会イノベーションなんて、大それたことができるかな、、、。」という不安はありました。

ただ、私のロールモデルの1人であるフローレンス創設者である社会起業家の駒崎弘樹さんは、今でこそ、とても大きな社会イノベーションを起こしている第一人者と言われますが、駒崎さんも最初は「足元半径5メートル」からアクションを起こしたことがはじまりでした。

私も、ファンドレイズを通して、小さな活動でも社会イノベーションにつながるような種を育てる仕事をしていきたいと思っています。

 

− これから至善館を志願する後輩に向けて、一言お願いします。

以前の私は、至善館の話が耳に入っても、「至善館で学ぶのは、私じゃない他の誰かなんだろうな。」と思っていました。

 

もっと他にバリバリ働いている人や、経営者の人が行くところだろうな、というイメージがありました。

ただ、今回、たまたまお声がけいただいて、至善館で学ぶことや自分の人生についてゆっくり考えた時に、「私も学びたい」と思っている自分がいることに気づきました。

 

同時に、「もしかして、私はこれまで、『それは、私じゃないだろうな。』と言いながら、無意識に逃げていたんじゃないか?」と思うようになりました。

 

そして、徐々に、「いや、私も学んでもいいんだ。むしろ、私じゃないといけないかもしれない!」という考えに変わり、出願に至ったという経緯があります。

 

至善館は、他のビジネススクールに比べると、段違いにダイバーシティーを重視していて、さまざまなバックグラウンドを持った方が学生として入学しています。ビジネスセクターの方も、ソーシャルセクターの方もいますし、子育て中のパパやママもたくさん学んでいます。

 

至善館では、多種多様な価値観に触れる機会があります。私も、至善館に入学して、これまでの自分の世界観から、「一歩外に出た」感覚を感じています。もしかしたらすでに「足元半径5メートル」を超え始めているのかもしれません。

至善館では、これまでとまったく違う景色が見れると思います。そんな経験はなかなか転がっていないので、ぜひチャレンジしてほしいです。

 

私も、今回得られた気づきを大事にして、「社会を変えるのは、他の誰かではなく、自分自身。」という強い信念を持って至善館で学んでいきたいと思っています。

 

(2024年10月4日)

 

 

【参考リンク】

 社会イノベーション創出奨学金の募集

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 E-mail:admissions@shizenkan.ac.jp

 

 

 

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