起業家として、自分を見つめ直し、世界を俯瞰して捉える
湯原伸悟さん Class of 2020
今の仕事について、簡単に紹介いただけますか?
2021年7月にforest株式会社を設立し代表を務めています。
forestは、日本の良質なプロダクトを企画・販売するEコマースブランドを、M&Aを通じて譲り受け、ビジネスとテクノロジーの力を活用して、そのブランドの更なる成長を実現する事業を展開しています。事業を推進していくため、2021年10月にUTEC(東京大学エッジキャピタル)とNORDSTAR(英国拠点のグローバルVC)から約9億円のシード調達を実行、また、2023年にはシリーズA調達で約28億円を追加調達しました。
以前はどんなお仕事をしていましたか?
forest設立前は、外資系プライベートエクイティであるCITIC Capitalにて、良い技術やブランドを持つ日本の中堅中小企業への投資及び主にアジア市場を活用した成長支援を行ってきました。それ以前は、モルガン・スタンレー投資銀行部門にて、主にクロスボーダーのM&Aアドバイザリー、また、EY新日本監査法人にて公認会計士として監査業務に従事していました。
卒業後、仕事やキャリアにどのような変化がありましたか?
仕事を含めて、日々の生活が大きく変わりました。(お恥ずかしながら)それまでの自分主体から、他者主体(私の場合は特に家族、そして社員)、そして他者を通じて自分の幸福度が高まることを感じられるようになりました。
キャリアへの影響という点では、私は元々、渡り鳥といいますか、組織に所属したり肩書きに頼ったりせずに、一人の素の人間として勝負してきたし、今後もそうしていくつもりなので、キャリアのベクトルについては、大きく変わっていません。しかしながら、その時々に携わる、一つ一つの仕事において、その仕事が本当に社会的に意義があることなのか、今日一日の自分の行動が世の中にどういう影響を与えるのか、を常に考えるようになりました。
至善館での学びについて、どのように振り返りますか?
私にとって至善館は、自分自身を見つめ直す場、でした。社会学や宗教、演劇などの授業を通じて、世界を客観的に捉えるための軸が増え、より複層的に考えられるようになったこと、また、世界における自分自身の存在意義を改めて再考するようになったこと、これらが大きな収穫でした。
また、至善館には多様なバックグラウンドを持つ学生が集っていたので、様々な経験や考え方を持つ方とのディスカッションからは、学ぶことが多かったです。これまで私はビジネスの世界の方と付き合うことがほとんどでしたので、新鮮でしたし、今回起業するに際しても、そのときに学んだこと、感じたことが活きています。
至善館に応募しようとしている将来の仲間へメッセージをお願いします。
至善館が求める学びの姿勢の水準は高いです。仕事や家庭がありながらの通学は容易ではありません。私自身も、家庭の事情で途中半年ほど休学しました(その間、至善館の方々にはとても暖かくサポート頂き、感謝しております)。
至善館での日々を経て得られるものは、それに要した時間、金銭的負担、苦労を大きく超えます。自身の視点の複層化、ダイバーシティに富んだ仲間、自分が生きる意味、これらを得られます。是非、勇気をもって一歩踏み込んでみることをお勧めします。