【栗島正和奨学金 第3号奨学生インタビュー】 第8期生 竹内太郎さん「サステナビリティと経営をつなぐ──至善館で育む、新たなリーダー像への挑戦」
2025年12月05日
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栗島正和奨学金は、故・栗島正和氏の想いと意志を体現するような、未来のリーダー人財の育成を目指して、有志による寄付のもと設立されました。今年8月に入学をした、栗島正和奨学生第3号の竹内太郎さんにお話しを伺いました。

 

 

​​​​− まずは、自己紹介をお願いします。

私は2010年に現在の所属先でもある製造メーカーに入社し、10年以上、航空宇宙部門の研究職として大型旅客機の機体設計開発に携わってきました。しかし、コロナ禍により航空業界の停滞や旅客事業の低迷期が訪れ、そしてプライベートでは、子どもが生まれ新しい家族が増えたことで、自身のキャリアに対して新たな問いが生まれ始めました。「子どもたちが生きる次の時代のために、何かすべきではないか?」と。そんな思いを抱き始めたときに、社内公募で脱炭素事業部門の募集を知り転身を決意しました。

 

脱炭素事業部門では、技術開発から事業開発まで幅広く関わりました。そして現在は、欧州における脱炭素事業の立ち上げを担う部署で企画戦略を担当しています。

 

​​​​− なぜ至善館に出願しようと思ったのですか?

脱炭素事業に異動したことは、私にとってキャリアの転機でした。しかし同時に、この道を突き進むための「原体験」が自分には希薄であるという自覚もあり、迷いを抱えていました。30代後半に差し掛かっていたこともあり、新しい領域に本格的に舵を切るべきかどうか判断できずにいたのです。

 

そんな時、個人で申し込んだ公益財団法人日本財団ボランティアセンターと一般社団法人Earth Companyが企画したプログラムでインドネシアのバリ島を訪れ、社会課題の最前線に触れる機会がありました。現地で出会ったイブ・サリさんからかけられた「心の声に正直に、やりたいことへ向かえばいい」という言葉、そしてスラム街の子どもから聞いた「観光客が来ないとごみが減り、収入も減ってしまう。」という一言は、私の環境問題への意識を大きく変えました。この経験は、私にとって確かな原体験となり、今の所属先に残りながら社会的インパクトを発揮する道を本気で模索し始めるきっかけになりました。

 

そんな折、アメリカ支社長から「エンジニアであってもMBAで学び、ビジネススキルを身につけるべきだ」という助言を受け、MBAについて調べ始めました。ちょうどその頃、知人を通じて至善館を知り、プログラム内容を調べるうちに、自分が学びたいことがすべて詰まっていると強く感じるようになりました。自社に所属したまま社会的インパクトを生み出すという、これからのキャリアのためにも不可欠だと確信し、出願を決断しました。

 

​​​​− 実際に至善館で学び始めてどうですか?

至善館での学びは、私にとってこれまでのキャリアで最も多くのインプットを得る経験となっています。
私は理系出身のため、特定の分野で専門性を深めてきましたが、至善館では多角的な視点から物事を捉える力が格段に向上していると実感しています。至善館では、入学直後のオリエンテーションで、人類1万年の歴史を振り返ったりしますし、授業ではMBA的な科目以外にも、科学とテクノロジーのクラスがあり、あらゆる物事の繋がりや因果関係を解き明かすような学びを得られています。様々な事象や歴史的な経緯を学ぶと、点と点を結び線を引くことができ、その延長線上で未来を考えることができるようになります。自分が担当している事業の企画でも至善館での学びが実践でき始めています。

 

− これからの至善館での抱負は何ですか?

私自身の「枠」を広げ、知らなかった自分に出会うことを、まずは目指したいです。脱炭素の課題以外にも社会課題は数多く存在しており、自分はそのような大きな問題に、どのようなマインドでどう対峙すべきか、まだ言語化できていない「モヤモヤ」がたくさんあります。至善館の多様な価値観を持ったクラスメイトから刺激を受けつつ、自分の問題意識をクリアにしていきたいです。

 

また、企業人としての目標は、「Chief Sustainability Officer(CSO)」の役割を超えた「Chief Sustainability Strategy Officer(CSSO)」という新たなポジションを社内で立ち上げたいという野望もあります。

 

企業として、社会を変えるような大きなインパクトを生み出すには、サステナビリティと戦略を融合させた新たな方向性が必要だと思っています。脱炭素事業部門で培った経験と、至善館での学びを活かし、従来の組織の構造や意思決定のプロセスを超えて、社会感度の高い経営層の創出を実現したいと思っています。

 

− 栗島正和奨学金が授与されると聞いて、どのように思いましたか?

選んでいただけたことは、本当に光栄です。栗島さんのように志を持って活動されていながら、志半ばで亡くなられた方の想いをつなぐんだ、という重責も感じています。

 

ネイティブアメリカンの言葉に、『地球は先祖から引き継ぐものではなく、子孫から借りたものだ』という考え方があります。私も子どもが生まれてから、この言葉がすごく大切な人生のキーワードになっていたのですが、今回、栗島正和奨学生に選んでいただいたことで、よりリアルに感じることができました。未来の世代に何を残せるか、それをしっかり至善館で考えていきたいです。

 

− これから至善館を目指す方々へメッセージをお願いします。

至善館は、新たな自分と出会える場所だと思います。これまで、自分では見ないようにしていたこと、目を背けていたことにも、ここでは向き合うことができます。知識的な広がりも得られますが、それ以上に人としての変化、成長を実感できます。

 

私自身、至善館に入ってから、これまでの価値観や視野が広がり、まさに『全人格的な変革』を経験しています。無意識に心地良い方向にしか進んでいなかった自分にとって、まさに大きな挑戦の途上にいます。しかし、その挑戦の先に、きっと知らなかった、もっと大きな自分と出会えると信じています。たくさんの方に、至善館のプログラムを体験して欲しいです。

 

 

(2025年10月14日)

 

 

【参考リンク】

 

【お問い合わせ】

 大学院大学至善館 アドミッション事務局

 住所: 〒103-6117 東京都中央区日本橋2-5-1 日本橋髙島屋三井ビルディング17F

 E-mail:admissions@shizenkan.ac.jp

 

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