枝廣淳子教授による体験授業「VUCAの時代を生き抜く必須の力「システム思考」入門」が開催されました
2023年11月11日
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10月16日(月)オンラインにて、枝廣淳子教授による体験授業「VUCAの時代を生き抜く「システム思考」入門」が開催されました。

 

VUCA時代と呼ばれる現在、本質が見えにくい問題や、正解がない課題が溢れています。そのような場面に直面した時、私たちは表層のみを捉えて、深層にまで切り込むことをしない、対症療法的なアプローチに止まってしまいがちです。この時に有効な手法が、ネガティブ・ケイパビリティです。枝廣教授は、「これからのリーダーには、安易に”わかったつもり”にならず、結論を保留する力、いわば”モヤモヤする力”が必須になります。自らが手本を示し、さらに、メンバーがネガティブ・ケイパビリティを発揮できるよう、安全な場を作り出す役割が求められます。」と指摘します。

枝廣教授は続けて、「ネガティブ・ケイパビリティは結論を先延ばしにして、優柔不断な態度をとることとは異なります。結論を保留している間に、見えている問題の下に広がる見えない問題同士の構造を読み解く「システム思考」を働かせるのです。相互に影響しあっている要素のつながりをたどり、その関係性の構造を捉えて、構造を変えることで根本的な解決を図るのが、システム思考です。」と強調します。

当日は、システム思考を使って、渋滞問題や人口減少問題の背景にはどのような構造的な問題が隠れているのかを考えるクイズをしたり、実際に枝廣教授が関わったプロジェクトで作成されたループ図(要素間の因果関係を矢印で結んで構造を図式化したもの)が紹介されました。また、システム思考のフレームワークである「氷山モデル」について、「自分に見えている世界が「世界」だというのは思い込みに過ぎない。深い内省により、自分のメンタル・モデルに気づき、自分を解き放つことが必要だ。」と説明しました。

 

 

体験授業の後半では、2023年6月に至善館を修了した土田麻依さんもオンラインで参加しました。枝廣教授の授業で得られた学びについて聞かれると、「業務で何か問題に直面した時に、その問題が直線ではなくループになっているのではと考えるようになった。自分がいる部署特有の思考に縛られていると解決策が見えないが、俯瞰して構造を見ることで新たな気づきがある」と答えました。また、至善館の学びによる自身の変化については、「授業やクラスメイトとのディスカッションなどを通じて、自分がどのような人間かを常に考えさせられた。それによって、他者との向き合い方も変わったと思う。他者に寄り添い、共感できるリーダーになりたい。」と語りました。

 

質疑応答では、「ループ図でつながりを辿っていく時、どこにゴールを設定するのか」「システム思考がアジア圏で認知されていない理由は何か」といった質問が寄せられました。枝廣教授は、「ループ図は完成させることが目的ではなく、問題解決に資することが大事である。粗々でもそこから気づきが得られれば、それだけで価値がある。「仕掛品」として、自分やあなたから、この問題はどう見えているか、というコミュニケーションのツール、対話のベースとして活用するのが望ましい。」と答えました。

 

大学院大学至善館では、個々の授業が密接に関連するカリキュラムを構築しています。ある授業で学んだことが違う授業と繋がっていたり、在学中に学んだことが卒業後のビジネスシーンで活きることも多くあります。至善館での2年間は様々な気づきの基礎固めに過ぎません。至善館のプログラムを経て、これまで見えなかった構造をクリアにし、これまでと異なる視点から解決策を追求する力を探求してはどうでしょうか。

 

次回以降の開催イベント情報はこちら

 

 

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