2月16日(木)オンラインにて、竹田青嗣教授による体験授業「なぜ今、ビジネススクールで『哲学』なのか」が開催されました。近代国家の進展は、当初西洋の近代哲学者が描いた「希望」の原理とは裏腹に、戦争の契機を高め、格差などの矛盾を生み出しており、資源・環境の持続可能性の課題も山積しています。こうした中、そのときに彼らが描いた「資本主義の設計図」に立ち返って考えることが重要です。
竹田教授は「我々は近代社会に生きていながら、その正確な設計図を知らない。知らなければそこに不具合が生じた時にどう対処するかわからない。だからこそ、近代哲学を学ぶ意義がある」と言います。特に1980年代以降、先進国の経済成長率が下落し、ネオリベラリズムの興隆により、格差がかつてないほど拡大していることは既知の事実です。
次世代のリーダーには、近代市民社会のあり方に代わるオルタナティブはあるのか、世界の暴力原理や競争原理を抑制し、人間と諸国家の共存と相互承認を実現してゆく原理はあるのか、について解を見出していくことが求められます。
終盤の質疑応答では、参加者から「経済ゲームを正常に動かすルールとは何か」「当時の哲学者が社会的な影響力を持ち得たのはなぜか」など多くの質問が寄せられました。竹田教授からは「格差の拡大は、資本主義の発展も民主主義国家の発展も阻む。協調的な競争原理を探さなければならない。」「現代においてSNSなどで個人の発信力が高まっているとはいえ、人々が希望を見出せるしっかりした原理がまだ示されていない。現代哲学のミッションは、近代哲学を乗り越え、現代社会の原理と条件を作りだすことだ。」との展望が示されました。
大学院大学至善館の学びでは、ゴーギャンの「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」という問いに常に対峙していきます。他のビジネススクールにはない、哲学をはじめとするリベラルアーツの授業により、あらゆる視点から、社会の課題を理解し、未来へのヴィジョンを構想するリーダーを育成していきます。